今回の作業はトヨタクラウン(昭和55年式)のエアコン修理作業です。お客様は当社ホームページ&ブログをご覧頂き「エアコンの点検・見積もりを」と言う事でご依頼頂きました。まず始めにエアコンのゲージマニーホルドを接続しガスが少ないのが確認出来ました。エアコンのガスがR-12の旧ガスタイプになりますので点検時にエアコンサイクルの点検・ガス漏れ点検をするのにガスをある程度充填しなくては点検出来ませんのでお客様に確認を取り作業を進めていきます。
ガスを少し充填しコンプレッサーの圧縮状態や冷え異音や室内のエアコン電気系統(エアコン操作パネル)の作動チェックを行い特に異常がありませんでしたのでエンジンを止めガス漏れ点検をしていきます。
ガス漏れ点検は画像左側のトーチ式検知器(ガス式検知器でエアコンガスを吸い込むと炎の色が変わりガス漏れを判断します)を使用し漏れの有る箇所を調べていきます。もちろん電気式の検知器でも調べれるのですがR-12のガスの場合はトーチ式の方が分かり易いので今回は使用していきます。
調べた結果ガス漏れ箇所はコンプレッサー(左画像)とEPR(中央画像)レシーバードライヤー(右側画像)とここには画像が無いですが室内のエバポレーターからガス漏れしていました。
コンプレッサーはエバポレーターで室内の熱を奪い気化したガス状の冷媒を液化させる為にコンプレッサーで圧縮して高圧にする役目をします。
EPR(エバポレータープレッシャーレギュレーター)はエバポレーターとコンプレッサーの配管の途中に取り付けされている圧力調整弁です。エバポレーターからコンプレッサーに戻る冷媒量を調整する事によってエバポレーターでの蒸発圧力を一定値異常に保ちエバポレーターのフロスト(氷つき)を防止する役目をします。
レシーバードライヤーはコンデンサーで液化した冷媒を一時的に蓄え冷房負荷に応じてエバポレーターに供給したり、内部には乾燥剤が封入され、サイクル内のゴミや水分を取除く為に有り小さい部品ですが意外と大きな役目をしています。
内容がそれてしまいましたので作業に戻ります。ガス漏れ箇所が分かりましたので部品の納期・金額を調べて見積もりをし、お客様より「修理OK」の返事を頂きましたので部品を発注します。年式的に部品の納期がかかりますので部品が揃い次第再入庫して頂く事になりました。
後日入庫して頂き画像には無いですが一番最初にコンプレッサーを取り外しメーカーに送ります。何故かと申しますと年式的にコンプレッサーのリビルト品が無く現物修理でオーバーホールする事になりましたので先にコンプレッサーの修理依頼をしメーカーで修理をしてもらっている間に他の分解・部品の交換を進めておきます。エバポレーターの交換をしますので室内グローブボックス裏に取り付けされていますクーリングユニットを取り外していきます。外し方は画像に記載していますので参考にして下さい。グローブボックスしたの小物入れを取り外し、アンダーパネルを取り外します。この時点ではまだクーリングユニットの下部しか見えません。
アンダーパネルを取り外しましたら次にグローブボックスのフタのみを取り外します。上段左画像に記載していますがフタを開ける時のストッパーが付いています、フタの左サイドにビスで固定されていますので取り外しますとフタが一気に下の方まで開きますのでご注意下さい。開きましたらビス4本でフタの固定がされていますので取り外しグローブボックス上部のビス4本を外しボックス本体を軽く手前に引き出します。引き出すと左右裏に各スイッチ類のカプラーが有りますので取り外しボックス本体を引き出し取り外します。下段左側の画像の様になります。下段右側画像のダクトを取り外します。
クーリングユニットの固定ボルトの画像が無いですがクーリングユニットを取り外すのに支障となる部品を先に取り外しクーリングユニットのボルトを取り外します。
少し見えにくいとは思いますがエンジンルーム内と室内エバポレーターとのジョイントを緩め配管を取り外します。
ジョイント部が外れましたのでクーリングユニット本体を取り外し分解していきエバポレーター本体を取り出し新しい部品と交換し外した逆の手順で組み付けをしていきます。
次にエバポレーターとコンプレッサーの配管の途中に有りますEPRを取り外し新しい部品と交換します。
コンプレッサーの現物修理に出してから4日後綺麗になったコンプレッサーが帰ってきましたのでコンプレッサーを組み付けしていきます。コンプレッサー本体はボルト4本で固定されていますので位置を合わしボルトを固定します。クラッチの配線を忘れないように接続しエアコンベルトを取り付けベルトの張り調整をします。もちろん各ジョイント部のOリングは交換し各部の締め忘れが無いかチェックをしエアコンゲージマニーホールドを接続し、真空ポンプで真空引きを行います。数日間組み付けが出来なかったので接続していない配管やホースのジョイント部にはゴミや水分が混入しないように処理をしていましたが普段より長めに真空引きをします。一定時間が経ち真空ポンプの作動を停止し数時間放置します。ゲージは真空引きをしましたので負圧の状態になっていますのでもし何処か配管やホースに穴開きが有ったりすると真空状態が保てませんので負圧状態では保つ事が出来なくなりますので穴開きが無いかの目安として様子をみます。常に負圧状態を保っていましたのでガスを少し充填し先にガス漏れチェックを徹底的に点検していきます。特に異常がありませんでしたのでガスを適量充填していき圧力のチェック等をします。
室内エアコン吹き出し口にデジタル温度計を差込み冷えのチェックを行います。画像が見にくいかもしれませんがこの車両はセンターの吹き出し口で風量は一番弱くした状態で3,9℃まで冷えました。3,9℃でコンプレッサーの作動が停止し7℃前後でコンプレッサーが作動し始めるを繰り返し正常に作動していました。
しかし良く冷えますね~、最近の車両では外車は結構低い温度まで冷え込みますが国産車では中々ここまでは冷え込まないですよね~(^^)。この後エンジンを停止し再度ガス漏れのチェック・閉め忘れチェック・各電気廻りのチェック・キズや汚れのチェックをし無事に作業は終了いたしました(^^)!!。
しかし今回作業をさせて頂いたクラウンはエンジンも室内も凄く程度が良く各作動もキッチリとしていました(^^)。昭和55年式クラウン(MS112)って事は28年前の車両って事ですよね~!!好きな方にはたまらない車両ですね~(^^)。オーナー様ありがとうございました~(^^)!!。
by まっちょ