今回の作業はマツダのデミオのエアコン修理です。症状はガス漏れをしていてエアコンが冷えません。ガス漏れをしていたのはヒーターユニットに入っているエバポレーターからでした。少し前の車両からエバポレーターがクーリングユニットでは無くヒーターユニットの中に組み込まれて一体になっているタイプが増えてきました。エバポレーターも簡単に取り外せなくなってダッシュを取り外さなければエバポレーターの交換ができません。
ダッシュを取り外す時にエアーバッグやいろいろなカプラーなどを取り外すので必ずバッテリーを取り外してから作業を始めます。
車両に残っているエアコンのガスを回収をして専用工具を使って室内に入っていくエアコンの配管を取り外します。ヒーターコアのホースも取り外してエンジンルームでの取り外し作業は終わりです。
デミオのダッシュは写真の様になっていて上部分のグレーの所と下部分のベージュの部分と2分割になっています。ダッシュの中央には専用の取り付けキットでナビのモニターも取り付けられています。
今回はエバポレーターの交換作業なのですがダッシュの取り外し方がメインになってしまっています。まず左右のAピラーカバーを取り外します。ダッシュの溝にAピラーカバーがかみ込んでいるからなのですがダッシュにかみ込んでいないタイプでもダッシュを取り外す時に擦れて傷が付くのでAピラーカバーは必ず取り外します。
シフトやサイドブレーキのところのパネルを取り外します。このパネルは車両前方の左右にプラスチックピンがあり、そのプラスチックピンの中央部分を引っ張り出してロックを外して取り外します。それからこのパネルの後側の左右のビスを取り外します。これでパネルの固定が外れました。サイドブレーキの下にあるカバーが取り外す時にサイドブレーキに当たってしまうので取り外しておきます。後方向を持ち上げてサイドブレーキをかわして後方向にスライドさせながらパネルを取り外します。
シフトの部分のカバーは残るのでパネルをスライドさせて取り外す時にキズが付かない様に布などで保護すると良いです。
助手席側のグローブボックスとその横にある小物入れを取り外します。ダッシュのサイドパネルとステップカバー・キックパネルも取り外します。サイドパネルの奥にはダッシュの上部分の固定ビスが隠れています。
運転席側もサイドパネルとステップカバー・キックパネルを取り外します。ハンドル下のカバーの上側を手前に引っ張って回転させるようにして取り外します。ヒューズボックスのカバーを取り外してヒューズボックスのビスを2本外してヒューズボックスをダッシュ裏にずらしておきます。
オーディオパネルのエアコンのダイヤルを取り外してエアコンコントロールを固定しているビスを2本取り外します。ハンドル下からオーディオ横で固定している10㎜のボルトを取り外してオーディオを取り外します。
エアコンコントロールには内外気切り替え用とエアーミックス用のワイヤーが付いていてそれぞれユニット側でワイヤーを取り外してエアコンコントロールを取り出します。
ハンドルのカバーを取り外してハンドルを固定しているナット4個を取り外してハンドルを下に落としておきます。メーターのカバーを取り外してメーターの固定ビス3本を取り外してメーターを取り出します。メーター奥にはダッシュ下側の固定用ナットが見えるので取り外します。
ダッシュ中央にあったモニターのコードを助手席下にあったナビユニットとTVチューナー側で取り外してコードと一緒に取り外します。GPSアンテナもモニター固定パネルの下に取り付けていたので同じ様にナビユニット側でカプラーを外して取り外します。
助手席のエアーバッグはグローブボックス奥に10㎜のボルト2本で固定されていてこのボルトを取り外してダッシュ部分に引っかかっているツメを外して上に持ち上げて外します。この時にエアーバッグ側がとても柔らかいので変形させない様に慎重にツメを外していきます。
サイドパネル奥のビスとモニターの取り付けてあったパネル奥のビスを取り外してダッシュのグレー色の上の部分を取り外します。上部分が外れるとベージュ色の下部分の固定ナットが見えるのでこれらのナットを取り外していきます。
ダッシュを取り外すと写真の状態になります。後は左右に固定されている大きなバーを取り外します。助手席側は普通に室内からボルトで固定されているのですが運転席側がドアを開けてAピラーの下側にあるゴムのグロメットを取り外した奥からボルトで固定されています。ボルトを外す工具はこのグロメットの奥に入りにくいし、ボルトを取り外す時に落としてしまうとボディの中に入ってしまって取り出すのに苦労しそうなので慎重にボルトを取り外します。ヒーターユニットとブロワーユニットにも固定用ナットがあるので取り外します。バーを室内から取り出す時は二人で何処にも当たらない様に慎重に取り出します。
大きなバーが外れたらブロワーユニットを先に取り外します。次に車両のハーネスをよけながらヒーターユニットを車両から取り出します。
ヒーターユニットを取り出してヒーターコアをユニットから取り外します。EXPバルブのカバーを取り外してエバポレーターからEXPバルブとパイプを取り外します。ヒーターユニットの下のエバポレーター部分のカバーを取り外します。これだけではエバポレーターが取り出せないのでヒーターユニットの一部を左右に広げてエバポレーターをユニットから取り出します。
取り出したエバポレーターはこの様な形をしています。先程ユニットを左右に広げたのはエバポレーターとEXPバルブの接続部分がユニットのケースに当たってしまって取り出せなかったからです。同じ様に新しいエバポレーターをユニットに入れてEXPバルブとチューブを接続します。ヒーターコアもユニットに取り付けてヒーターユニットを車両に取り付けします。バーやダッシュなど取り外したパーツを車両に組み付けていきエアコンの配管とヒーターのホースをエンジンルーム側でそれぞれ接続をします。真空引きをしてエアコンの配管内の空気を取除いて規定量クーラーガスを充填をします。
ヒーターコアのホースを取り外したのでラジエーターの配管の中にも空気が入ってしまっているのでラジエーター内のエアー抜きをします。これをしっかりやらないと水がまわらなくてオーバーヒートを起こしてしまうからです。色々なカプラーを取り外したので車両の全ての作動確認をしていきます。最後にもう一度ガス漏れが無いか点検をして作業は終了です。
BY TANI